あと、どれぐらい持ち堪えられるだろうか。 目の前で課題に取り組んでいる幼馴染をぼんやり見つめながら、思う。 自分の部屋に二人きりで、しかもその相手が憎からず思う人で。 一体これはどんな拷問なんだと、誰にともなく問いを投げる。 率直に言うなら、手を出してしまいたいのだ。触れて、抱き締めて、声を聞きたい。 けれど、グリーンがそんなことを思っていることなど露ほどにも考えていないだろうレッドは、淡々と課題をこなしていくのみ。 レッドの態度がそんな風であるのは今に始まったことではないし、そもそもグリーンがレッドを好きだと言っていることの意味をしっかり理解出来ているのかどうかすら怪しい気はしていた。 そうでなければ、どうして自分を好きだと言っている人間の前でこうまで無防備になれるのだろう。 だからと言ってはっきりさせるようなことをしないのは、レッドが同じ意味でグリーンを想ってくれているかどうかについて自信が持てないからだ。 もしも違ったときに、上手く笑えない自分をはっきりと想像することが出来た。 だからこそ、こうして今日も耐久テスト紛いなこの状況に甘んじている。 (・・・全く、意気地がないにも程がある) 嘲笑うように自分を顧みながら、黙々と課題をこなすレッドに倣って問題集にようやく視線を落とした。 無理にでもレッドから視線を外してしまわなければ、いつ手を伸ばしてしまうか分かったものではない自分が恐ろしい。 頬に触れて、口唇に触れて、好きだと囁いたら、レッドは一体どんな顔をするだろう。想像してみるけれど、現実との差分がよく分からなかった。昔は、レッドのことなら何でも分かる気がしていたのに。 「ねぇ、グリーン」 「ん?」 ようやく視線を問題集に落としたところで考えることはレッドのことばかりで、呼ばれればその反射ですぐに視線を戻してしまう。あぁこれはもういっそ、病気だなぁ。そんなことをぼんやり思考の片隅で思いながらレッドに視線を向けると、先ほどまで手元をひたすら見つめていた瞳がグリーンを捉えていた。 少しだけ困っているような、途方に暮れているような、そんな表情で。 「俺は、そんなに何も考えてないように見えるのかな」 「へ?」 たっぷりの沈黙の後に間抜けな声を上げると、何かに焦れたような顔をしたレッドは、 「グリーンのバカ」 小さな声で、そう呟いた。
本当はちゃんと分かってるんだよ、グリーンのことがちゃんと好きなんだよ。 |
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