頭の良い幼馴染が同じクラスであるということは、怠け心を助長させる大きな要因である。(・・・と、思う)
しかもその幼馴染が真後ろの席にいるとなれば、殊更。

「グリーン、宿題」

くるんと身体ごと振り返って、言外にノートを貸して欲しい旨を伝えると、グリーンは若干怒ったような顔をした。あぁやっぱりなぁとは思うけれど、やってないものはやってないのだから、素直に怒られるしかないだろう。

「お前昨日何してた」
「過去のことはもう忘れ」
「たとは言わせねーぞこの野郎。人が宿題片付けてる隣でずっとマンガ読んでたのは一体何処のどいつなんだ?え?レッドくん?」
「・・・・・・・・・」

最初からやる気がないわけではなかった。グリーンとテーブルに向かうまでは、ちゃんとやろうと思っていたはずなのだ。・・・多分。
けれど、一度読み始めたら続きが気になってしまったのだから仕方がない。とは、言わない。(火に油を注ぐような趣味はないのだ)

「俺は、遊ぶな宿題をやれって言ったよな?」
「・・・・・・・・・・・・」
「で、お前は家でやるって俺に言ったんじゃなかったのか」

じとりと目の据わったグリーンはすいと両手を伸ばすと、レッドの頬を思い切り引いて呆れたように溜め息を吐いた。

「・・・いひゃい」
「ったく・・・そんなんだからお前はテスト前にいっつも苦労すんだよ」
「別に気にしてないよ」

両頬をさすりながらけろりと返すと、今度はバシンと思い切り頭を叩かれる。痛い。

「少しは気にしろよ!」
「・・・だってテスト前にグリーンに教えてもらえば済む話だし。それに、屋上で勉強するの楽しいし」
「っ・・・あぁもう・・・ほら、ノート。とっとと写して返せよ」
「いいの?」
「そん代わり、後で焼きそばパンな」
「分かった。ありがとうグリーン」

グリーンの気が変わらないうちにとノートを受け取って、くるりと振り返って机に向かう。後ろから聞こえてくる盛大な溜め息は聞かなかったことにして、手早く写してしまわなければ。

HRまで、あと五分だ。





賄賂はパンではありません






焼きそばパンなんて本当はどうでもいいんだけど、だって本当のことは言えないからね!

2010/5/8



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