ザクザクと音が聞こえたと思ったら、洞窟と外の境目に現れた幼馴染。 「迎えに来たぞ、レッド」 「・・・・・・」 グリーンが来るのは、いつだって突然だ。 と以前苦言を呈してみたら、ちゃんとポケギアに連絡入れてんのに電話取らないお前が悪いんだ大体ポケギアは持ち歩くものであって果報よろしく仕舞いこむものじゃねーんだよ電話ぐらい出やがれこの引き篭もり、と三倍返しに見舞われたことがあるので、もう二度と文句など言うものかと心に決めている。 レッドの口数が少ないことを知っていて捲し立てるのだから、全く以ってグリーンはずるい。(そして、レッドがそう思っていることを恐らくグリーンは知っていて、それがまた何だか腹立たしい) 「この間降りたばっかりじゃん」 「仕方ないだろ。カスミが呼んでんだ、文句があるなら俺じゃなくてアイツに言ってくれ」 「・・・・・・いい。降りる前に、ごはん頂戴」 「はいはいどうぞ」 右手に携えられていた袋を手渡されて中身を確認してみると、布に包まれたおにぎりが二つ。シロガネ山に登る途中で少しでも凍らないための工夫らしい。 いただきます、と手を合わせてからご飯を口に含む隣で、グリーンが肩に掛けていた鞄の中から水筒を取り出してお茶を淹れてくれる。至れり尽くせりだ。 (本当は、忙しいくせに・・・) マサラタウンからシロガネ山までの距離は、決して短くない。トキワシティから出発するにしても、相当な時間がかかると考えて良いだろう。 ジムリーダーを担っている身で、頻繁に登ることが出来るほど安い山ではないのだ。 それなのに、グリーン自身に用があるわけでもないのに、誰かに頼まれればグリーンは食料を抱えてレッドを迎えにやって来る。 寒い寒いと文句を言いながらも、毎回必ず。 甲斐甲斐しいというか律儀というか、そういうところが何だかグリーンらしいというか。 「・・・グリーンは、変だよね」 「は?」 「うん。変だ」 「・・・ケンカを売るなら、もう少しタイミングと場所を考えてからにしてくれないか?」 「じゃあカスミのとこに行く前に、トキワでバトルしようか」 「分かった分かった、バトルでも何でも受けて立つから、とっととその飯を食え!」 全く突然何なんだと顔を顰めて呆れながら、それでもグリーンは笑っていた。 言いたいことなんて全てお見通し 「お前はいい加減素直にありがとうと言えないのか?」 「だって頼んでないもん」
カスミちゃん、レッド様に何の用があったんだろう。←… |
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