カビゴンのお腹の上で寝るのもふかふかしていて気持ちのいいものだけど、たまにはベッドで寝るのもいいと思う。 ごろんと転がって布団にくるまれば、寒さなんて微塵も感じられない。 当然だ。ここはいつも過ごす山頂ではないのだから。 ぬくぬくとベッドに横たわりながら、テレビのリモコンをかちかちといじる。ブラウン管の中に出てきた女性は明日の天気予報をすらすらと読み上げていて、シロガネ山は明日も雪だなぁとぼんやり思った。予報なんて、聞くまでもない。 他には何がやっているだろうと再びかちかちリモコンをいじっていると、ポケモンニュースやらホラー映画なんかが放映されている。 ずっと昔は飛び出せポケモン探検隊なんて番組があったけれど、今はもうやっていないんだろうか。久し振りに見たいなぁと思っても、何時から始まる番組だったのか何曜日の番組だったのかすら思い出せないのでは、お手上げだった。 (初めて旅に出た日から、何年経つんだっけ・・・) はて、と首を傾げて記憶の紐を解いていると、ふいにがちゃりと部屋の戸が開く。誰だろうと考える必要はなかった。 だってこの部屋は、 「おかえり、グリーン」 幼馴染の部屋なのだから。 「何してんだ、お前・・・」 「テレビ見てる」 「そりゃ見れば分かるんだよ!じゃなくて、何でそれを自分の部屋でやらないで俺の部屋でやってんのか聞いてんだろうが!」 言わなくても分かってんですよねレッドさんと無理矢理貼り付けたような笑みに問われて、グリーンは相変わらず怒りっぽいなぁと思いながら何となくと返す。 ただ何となく、自分の部屋よりも幼馴染の部屋に足が向いてしまっただけ。 「ここならゆっくりテレビ見られるし」 「お前なぁ・・・」 呆れた眼差しに馬鹿にされたような気がしたけれど、気付かなかったフリをした。だって、本当のことなのだから、仕方がない。 「ちょくちょくウチに来てんのはバレてんだから、そのうちいい加減顔ぐらい見せに来いって怒鳴り込んでくるんじゃねーの?」 はぁ、とこれ見よがしに大きく溜め息をつきながら、上着を脱いでぽいっと床に放り投げた。そのままどさっとベッドに座り込んだグリーンは、いつもと変わらない台詞でレッドを家に帰るよう促す。 「・・・まぁそれはそれで」 「ウチに迷惑かかるだろ!」 「大丈夫だよ多分」 「お前はまたそうやって根拠のない話を・・・あーはいはい分かりました。好きにテレビでも何でも見ててください。晩飯食ってくんだろ?」 「オムライスがいい」 「注文があんのかよ!!」 けれど結局、折れたフリをしてくれるのだ。 かわらないもの テレビ番組は変わってしまった。 時間も随分と過ぎてしまった。 それでも、変わらない優しさが傍にある。
だってやっぱりレッドが傍にいるのは嬉しいから。 |
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