初めて戦った時よりも本気に近いだろう力で戦ってくれる、ジムリーダーとの再戦。申し込みの電話をかけられる時間帯はとても限られていて、殆どのジムリーダーはその時間帯以外はジムの方の仕事やら修行やらで忙しいらしい。 そうすると、誰も相手をしてくれないような時間が生まれるのは必然であり、それならチャレンジ精神を奮い立たせてみようかな、と思ってしまったのが始まりで。 それが間違いだったんだ、と悟った時には全てが手遅れだった。 「レッ・・・」 ドさーん、と本来続くはずだった声が咽喉の辺りで押し潰される。思わず息まで止めてしまって、それはいらなかったと気付くまでにひどく時間がかかった。 (あ、ぶな) 慌てて呼吸を再開させて、岩陰に身を潜ませる。ギリギリ洞窟に入る前で良かった。 何だか今、見てはいけないものを見てしまったような気がする。 気のせいであればいいのにと思うのに、脳裏に焼きついてしまったあの光景は消えてくれなくて。 「ビックリ、した・・・」 シロガネ山に住んでいるらしい元チャンピオンの彼は、普段は洞窟の中に腰を落ち着けている。いつもならピカチュウとじゃれていたりリザードンに寄りかかって眠っていたりするのだけれど、今日は何故か違っていた。 彼とポケモンしかいないと思っていた空間に、もう一人いたのだ。 (グリーンさん、だったよなぁ) 日曜の夜じゃないと身体があかないのだと言っていたトキワジムのジムリーダー。あまりジムの方にはいないのだと聞いてはいたが、カントー最強のジムなのだからジム戦以外にも色々あるよなぁと勝手に納得していた。 そもそも、トキワジムのグリーンと言えば、誰もが憧れるような人だ。 あの有名なオーキド博士の孫で、元チャンピオンで、現カントー最強のジムリーダー。 憧れるなという方が、難しいと思う。 そんな彼が一体ここで何をしているのか。 岩陰からこっそり洞窟の中を窺ってみると、ヒビキに気付いている様子はない。 とは言っても、グリーンがレッドの両手を包み込んでゆっくりと撫で、時折はぁっと息を吹きかけて温めたりしているところへ声をかけるなんて、そんなこと出来るはずもない。 そこまで鈍いつもりも馬鹿なつもりもないのだ。 傍まで近寄らなくても、声をかけてはいけない空気なんだということぐらいは、分かる。 (・・・また、今度にしよう) 先輩方、どのようなご関係で? 「大体なぁ、雪だるまを素手で作る馬鹿が何処にいるんだよ」 「・・・・・・」 「あーもう冷てぇ!お前の手は氷か!?」 「でもかわいいでしょ、あれ」 「・・・かわいいのは分かったから、アレに巻いたマフラーはお前が巻いてくれ」
親友ですが、何か?(何かもなにも・・・) |
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