遠いよな、と言われた。 前触れもなく、唐突に。大口を開けてオムライスを詰め込んだ直後だったために何がと問うことも出来ず、けれどこの部屋には幼馴染と自分以外にはいないわけで(パートナー達はポケモンセンターで休養中だ)、その呟きに返答すべきは間違いなく自分なのだろう。 ならばきちんと相槌を打たねばなるまい、ともごもご口を動かしながらまずは何の話なのかという点について考えてみる。 夕食を取ることに夢中になり過ぎて話を聞き逃したりなどしていなければ、次の差し入れは何を持ってきてもらうかという話だったはず。 (・・・・・・うん?) 寂しそうというか、哀しそうというか、酷く複雑そうな表情で呟くから何事かと思えば、何だそういうことか。 あっさり行き着いた答えに若干呆気に取られつつ、グリーンにも可愛いところがあるんだなぁとぼんやり思う。 「そりゃまぁ、険しい山の頂上にいるんだから当たり前だよね」 「は?・・・・・・あぁ、いや、さっきのはそういう話じゃねーよ」 一瞬きょとんと呆けたグリーンは、すぐに言われた意味に気付いて苦笑を零しながら、頭をくしゃりと撫でて気にすんなとのたまった。 どうやら先ほどの発言は声にしたつもりのなかったものらしい。 ということは、レッドの関わりのない話なのかもしれない。けれど、あんな顔をしながら呟いておいて、気にするなと言われても到底無理な話だ。 「・・・何?」 「別に」 いつもグリーンにされるように、頭の上に乗せた手をゆるゆると右へ左へ。 固そうに見える髪の毛は案外手の動きに合わせるように潰れて戻ってを繰り返す。驚きに瞠られた瞳にはレッドだけが映り込んでいて、それが嬉しかった。 「グリーンまで俺みたいになったら、困るなと思って」 「何だそりゃ」 意味が分からないと呆れながら、グリーンが笑う。 良かった。いつものグリーンだった。それが嬉しくてほっとして、笑みが零れる。 とても些細で、しあわせなこと 「ところで俺みたいって何?」 「突然山に篭もるとか」 「しねーよ普通!」
受が攻の頭を撫でるシチュエーションというのは、存外ときめきでいっぱいだと思います。 |
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