暖かい、と。 ふわふわとした不思議な感覚の中で、まず初めにそう思った。 シロガネ山はいつだって雪が降っているのに、どうしてだろう。暖かさとは無縁のはずの山に、春でも来てしまったのだろうか。だとすると、多分世界が壊れてしまう日も近いに違いない。 ポケモンマスターになる夢をまだ叶えていないのに、それは困る。 さてどうしたものか、と自分一人では到底どうにも出来なさそうなことを考えていたら、「ぴかぁ・・・」と相棒の何処か心配そうな鳴き声が聞こえてきた。 自分しかいないと思っていたはずの空間にピカチュウがいたのだと知ると同時に、そもそも自分の瞳が今まで何も映していなかったことに気付く。 どうやら今まで眠っていたらしい。(それに気付くまでに、随分と時間がかかってしまった) (・・・あれ?) 目を開けてどうした?と問いながら、ピカチュウを撫でる。・・・つもりだったのに、上手くいったのはすぐ傍にいるピカチュウの姿を映すことだけで。 なぜだろう。 とても身体が重い。目をこじ開けるだけでも、しんどい。ついさっきはふわふわと今にも浮けるんじゃないかと思うほどだったのに、一体何が起きたのだろう。 「ようやく起きたか、バカレッド」 ふいにピカチュウの更に向こう側からも声が聞こえて、視線をずらしてみるとそこには幼馴染の姿。 バカじゃない、と反論したかったのだけれど声が出ないことは先ほど立証済みなので、何とか伝わらないだろうかと目で訴えてみたら、バカだよお前はとにべもなく切り捨てられた。(伝わったのは喜ばしいことだったのだけれど、どうも納得がいかない) 「ほら、熱。分かる?」 額にぺたりとグリーンの手が乗せられる。冷たいのか熱いのかはよく分からなかったけれど、じわりと何かが染み込むような感覚が心地良い。 気持ち良いと声にすることも出来ないのが酷くもどかしい。けれど、それすら分かっていると言わんばかりのグリーンが、そっと髪を梳きながらもう少し寝とけと睡魔を呼び込んだ。 あっさり沈みそうな意識は多分本当に睡眠を欲していて、熱があるらしい身体は布団に沈んでいくかのような錯覚を覚える。 そうか、風邪をひいたのか。 ようやく理解すると、グリーンはどんだけ俺が心配したと思ってるんだ、と呆れながら笑っていた。 あたたかさに涙が出そうなんて、 熱のせい。
実際のところ、こんだけ具合が悪かったらここまで色々考えないんじゃないかなあ(笑←お前が言うな |
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